ある日、高校生の裕二は、同級生の友人たちと共に夢を語り合っていた。しかし、彼の心の奥底には、人生の無意味さを感じる思いが渦巻いていた。どんなに頑張っても、どんなに夢を描いても、最終的には死という避けられない結末が待っている。その事実を早く理解した裕二は、希望を持つことすら無駄だと考えていた。
ある晩、裕二は学校の屋上で一人、人々が夢を持って生きる姿を見下ろしながら、自分の無力感に苛まれていた。星空を見上げると、そこには一つの流れ星が流れていく。それを見た裕二は、願いごとをすることが虚しいという思いが一瞬よぎった。しかし、どこか心のどこかに残る希望の残滓に戸惑った。
裕二は、友人たちとの関係も次第に希薄になっていった。彼は自分の気持ちを隠し、表面的には明るく振る舞ったが、心の中では孤独と虚無感が広がっていった。そんなある日、裕二は放課後、ひとりで公園で過ごしていると、一人の少女、アヤに出会った。彼女は明るく、未来に希望を持っているように見えた。
彼女との会話の中で、裕二は自分の感情を吐露した。彼女は優しく、裕二のことを理解しようと努力した。しかし、裕二は「希望が無駄だ」と繰り返すばかりだった。アヤは彼に、自分の夢や希望を持ち続けることの大切さを説いたが、裕二の心には響かなかった。
日々が過ぎる中で、裕二は次第にアヤとの関係を深めていったが、彼女の無邪気な笑顔が彼を苦しめるようになった。裕二は、「自分だけがこの世界の真実を知っている。他の人々は幸せを演じているだけだ」と考えるようになり、アヤを傷つけてはいけないという思いから、彼女との距離を置く決意をする。
ある晩、裕二は再び屋上に登り、星を見上げながら、自分の存在意義について考えていた。彼は、「死」という言葉を心の中で繰り返し、ついに自らその道を選ぶことを決意する。彼は自分の死が、周囲の人々に何も影響を与えないことを証明するかのように、静かにその屋上から身を投げた。
裕二の死後、アヤは彼を忘れられず、毎日屋上に向かう。彼女は、裕二が自分に語った言葉を思い返し、心の中で彼を生き続けさせようと努力した。しかし、裕二が残した「希望なんて無駄だ」という言葉が頭から離れず、次第に彼女自身もその虚無感に呑み込まれていく。
二人はそれぞれの孤独の中で消え去り、希望の灯火は静かに消えていった。彼らが求めていたものは、実は互いの存在だったのかもしれない。しかし、理解することなく彼らは選択をし、世の中に残すものはただの空虚さだけとなった。